【読書感想 / 無理ゲー社会(橘玲)②】自己責任が強調され、ハイスぺしか結婚できなくなる社会がやってきた

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「自分らしく生きる社会」では、なりたいものになれないのは努力不足と言われ、恋愛する機会も多く奪われてしまいます。

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「自分らしく生きれないお前は努力不足」と言われる時代

今は親の稼業を継ぐなんて時代遅れ!

「自分らしく生きること」が一番尊重される時代です!

もしあなたが高校卒業を間近に控えた18歳だとして、親に「プロゲーマーになりたい!」と熱意を持って言えば、親はきっと「お前のやりたいことなら仕方ない」と背中を押してくれるでしょう。

今の時代は血統主義ではありません!能力主義です!

夢を叶えるのに障害が限りなく小さくなったこの時代なら、生まれに関係なく、努力さえすれば誰だって夢を叶えることが出来ます!

実際、どんなプロゲーマーだって、努力の素晴らしさを語っていますよね!!

ところが「努力をすれば夢を叶えられる(自分らしく生きられる)」という言葉の裏返しは、「夢を叶えられないのは、お前の努力が足りない」です。

たとえば、女性が自分らしく活躍する社会がこのまま進んでいけば、「女性だから〇〇が出来ない」という言い訳がもう使えません。

「女性差別なんて存在しないのだから、お前の人生が辛いのは自己責任じゃないか」と能力不足が指摘されるようになります。(女性が「女性差別を理由にサボっている」という話では無いので誤解無きよう……

理由のない差別が無くなり、自分らしく生きることが出来る社会はもちろん良い社会です。

しかし、その裏返しが、自分らしく生きれない者への能力不足=努力不足、自己責任を指摘する社会であることは忘れてはいけません。

その結果が、社会に絶望して安楽死を望む人々、あるいは京アニ放火事件のような「自分らしく生きれなかった」無職による社会秩序の破壊に繋がっているのではないかと筆者は指摘します。

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恋愛はハイスぺ貴族の特権になる

「自分らしく生きる」という価値観は、多くの人間から性愛をも奪いました。

かつて、「自分らしさ」の存在しない社会では結婚相手は親が決めました。非モテでも社会が結婚相手を分配してくれたのです。

ところが、みんなが「自分らしさ」を追求出来る社会になったおかげで、結婚の価値が大きく上がってしまいまいました。

たとえば、今では多くの女性が「自分らしさ」を実現しています。

しかし、結婚や出産によって、仕事で実現出来ていた「自分らしさ」を捨てなければいけないとしたら、その相手は相応にハイスペックでなければ釣り合いが取れません。

結果、外見に自信がないまま中年期を迎え、年収も低い不人気男性は、恋愛市場から完全に排除されてしまいます。

恐らくその層は数十年前ならお見合いという形で結婚出来ていたはずです。

このことも、社会が「自分らしさ」を追求した結果、生まれた絶望のひとつだと筆者は指摘しています。

この本は、これからの社会がどんな絶望に塗れているかを淡々と伝えるだけです。

そんな社会で我々はどう振る舞えばいいのかは特に書いてくれていません。

それでも、我々は事実を受け止めて、生きなければならないのです。

おまけ:「いい人戦略」が今後の鍵になるかもしれない

本来ならここで記事を終わらせて、読んだ人間を絶望に叩き落として喜ぼうと思ったのですが、信頼している友人に「それは性格が悪い」と指摘されたので、処方箋になりそうな話をひとつ。

個人的には、絶望が広がる社会では「いい人戦略」が鍵になるのではないかと語っています。


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今の社会はSNSの発達によって、人の評判が通貨のように流通する時代です。

無理ゲー社会で生きる能力が無いなら、せめて善人と思われることでセーフティネットを築き上げることが大事じゃないかと思います。

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