【読書感想 / レッド 1969~1972(山本直樹)】普通の人間はリンチをする。この漫画の登場人物は俺であり、あなたである。

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概要

革命を目指す若者達の青春群像劇。この物語の登場人物達は決して特別ではない--。物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。ごく普通の若者達が、矛盾に満ちた国家体制を打破するため、革命運動に身を投じていく。それは、正しいことのはずだった……。激動の学生運動の行き着く先とはどこなのか!?全ての世代に捧げる、若き革命家達の青春群像劇。雑誌収録時から全ページにわたり、加筆修正した完全版!!

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レッドは全3部作

珍しく漫画を読みました。

ストVでお世話になっているヴァナヲさん(twitter)がこの漫画を強く勧めてきたことがきっかけです。

ちなみにレッドシリーズは、

レッド 1969~1972

レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ

レッド 最終章 あさま山荘の10日間 

の3部作になっています。

「あさま山荘」の名前が出ていることから分かるように、連合赤軍に参加した若者たちにスポットライトを当てた作品です。

レッドの登場人物は俺であり、あなたである

作中では、かの有名な「あさま山荘事件」よりも、その数日前に起こった「山岳ベース事件」を中心に描いています。

僕は昭和史に詳しくないので山岳ベース事件のことを知らなかったんですけれども、平たく言うと連合赤軍内部で発生したリンチ事件です。

山岳ベース事件に至るまでの連合赤軍の様子もこの漫画の中に書いてあるんですけれども、多くの登場人物が「普通の人」なんですよね。

良くも悪くも、普通の人。

登場人物のほとんどが20代前半なんですけれども、令和の20代前半と何も変わらないと思います。

そんな普通の人間である彼らが自分たちの理論に自家中毒的に侵されていき、如何に仲間内でのリンチを倫理的に許容するようになってしまったのかを、冊数をかけて生々しく描かれているのがこの漫画です。

リンチの詳細は以下のリンク先にわかりやすくまとめてあるので是非読んでみてください。

dic.pixiv.net

正論が溢れる社会に呑まれないために

繰り返しになりますが、登場人物のほとんどが普通の20代前半の青年たちなんですよ。

どんな人間でも、状況と理屈が揃ってしまえば、集団リンチを倫理的に許容してしまう。人はいとも簡単に狂気に侵されてしまう。

そのことを、この漫画は教えてくれます。

SNSの発達により、個人が発信者になることが容易なこの時代。

世界には「無数の正論」が飛び交っており、それらの検証をひとつひとつ行っていくことはほぼ不可能といえます。

この世界観の中では、情報は自分が正しいと思うものを「盲信」するしか無いのだろうと思います。

その中で、この漫画を読むことは、

・自分が正しさに侵されすぎていないか。

正しさを盾に人に暴力をぶつけていないのか。

という自分への問いかけが、出来るようになるきっかけになるのでは無いのかと思います。

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