【読書感想】「荒木飛呂彦以外が描くジョジョ」として完璧すぎる(恥知らずのパープルヘイズ―ジョジョの奇妙な冒険より― /上遠野浩平)

ライトノベル
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みんなが一番見たかったジョジョ5部の続編がみんなが納得する形で表現されている素晴らしい小説です。「荒木飛呂彦以外が描くジョジョ」として完璧すぎました。

この小説ではスタンドを「本人の精神状態が能力として発現したもの」として定義し、パープルヘイズがジョジョ史上稀に見るクソ能力なのはフーゴの精神的な脆さを表現しているとして、彼が裏切者として生きるしかなかった自分を如何に清算をするかという物語を描いています。

荒木ジョジョは人の持つ心の強さを描写して「人間賛歌」を描いていると僕は思うのですが、今回の上遠野ジョジョはそれとは別のアプローチ――人の持つ弱さと心のしなやかさを通して「人間賛歌」を描写するような作品になってるんですよね。

それは荒木飛呂彦には絶対描けないし、作者とは別のアプローチでテーマを表現するというのは、こういうコラボならではだと思います。

もうね、ノベライズとして完璧すぎるんですよ。荒木飛呂彦の描いたジョジョの劣化版コピーでもなく、かといって設定を借りてきただけのオリジナル小説でもなく、上遠野浩平にしか描けない「ジョジョの奇妙な冒険」でした。

恥知らずのパープルヘイズ―ジョジョの奇妙な冒険より― (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

 

 

 

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概要

上遠野浩平vs“ジョジョ”!!
JUMP j BOOKSが『JOJO』25周年を祝しておくる小説企画、第1弾がいよいよ登場!! 舞台は第5部、描くのは鬼才・上遠野浩平!! そして鍵を握るのは『裏切者』パンナコッタ・フーゴだッ!!

 

Amazonより引用

 

こんなの夢小説も同然じゃないか……(誉め言葉)

荒木先生ってあんまり過去の設定とか整合性に細かくこだわる人でもないので、4部のノベライズを担当した乙一に「スタンドの中で最強なのはハーベストですよね?」と聞かれたら「うん、そうだね」と答えるし、中川翔子に「スタープラチナに勝てるスタンドはいますか?」と聞かれたら「いない」って答えるぐらい過去の設定に興味がない人なんですよ。

だから荒木先生が既に終わった作品である五部の続編を作るというのは僕の中では絶対にありえないんで、いくら荒木先生公認で恥知らずのパープルヘイズが販売されたとしてもそれはもう上遠野浩平の手によって作られた同人誌でしかないんですよ。

ただ、同人誌にしてはあまりに出来が良すぎるんですこの小説……!!

ファンが見たかった「ジョルノどうなった」とか「フーゴどうなった」という続編願望にきちんと沿いながらも、五部だけじゃなく過去の部との繋がりを匂わせる展開を作るとかそんなの絶対荒木先生がやるわけないんですよ!!そんなファンサービスみたいなことをするなら、6部でディオの息子大集合したときにジョルノ絶対登場させるから!!

もうね、あまりにもファンに寄り添いすぎて、もう同人誌というか夢小説の類です。そういう意味でも良い意味で荒木飛呂彦が書いてないジョジョだと思うし、これを公式にしてほしいと思う反面、こんなケーキバイキングのように好物だけを乗せたジョジョなんて存在して良いわけがないんだ……という変な思いも出てくるんですけれども。

 

ジョジョ五部の再現度の高さが完璧すぎる

この小説を読んで本当に驚いたのが読んでて瞼に浮かぶ情景が完全に荒木絵なんですよ。言い回しや空気感が五部っぽいことが理由だと思うんですけれども、上遠野先生の”ジョジョ五部っぽさ”のトレースが上手すぎるんですよね。

また、五部といえば「まともな社会では生きられないギャング」たちを荒木風にデフォルメしたせいで敵が頭のおかしな人しかいないことだと思うんですけれども、上遠野ジョジョはそこの再現も完璧なんですよね。オリジナルキャラが五部本編に出ても遜色ないぐらい五部の雰囲気に馴染んでるんですよ!!

しかし、ここまで荒木ジョジョへのリスペクトが強いのに、作風が決して荒木飛呂彦に吞まれていないのがすごいんですよねこの小説。

個人の印象ではありますが、ジャンプ漫画のノベライズというと、本編に影響を及ぼしてはいけないということもあって、どうしても傍流にならざるを得なくて、結局、読み終わったところで何も収穫が無い話になりがちなんですよね。

ところが今作は、時系列が本編終了後というのもあるんですけれども、その部分の規制が完全に取っ払われていて、過去に出てきたキャラはもうガンガン死ぬし、設定の付け足しもジャンジャンしてるんですよ。

ストーリーは全くのオリジナルでありながらも、命のやり取りをしているという五部特有の緊迫感が薄れていないので本編同様に読みごたえがある小説です。これが俺たちの読みたかった五部なんだ…って感じです。

 

まあ、今作は位置づけとしてはパラレルワールドになるんじゃないかと思うのですが、五部本編が好きな人が読んだら作者のサービス精神の旺盛さに眩暈がすること間違いないです。ジョジョが好きな人には強くオススメしたい一作。

 


 

 

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