現在開催中のストリートファイターリーグについてまとめられた公式書籍。
僕はこの本の情報が出た瞬間に、まだ終わってもいないイベントの成功法則を社長が意気揚々と語る素晴らしいバカ本だと思ったのですが、読んでみると思った以上にまともでしたね。
我々ストVプレイヤーはカプコンを叩くことで精神を安定させているようなものなので、ツッコミどころが少なかったのはとても残念。
目次
概要
ゲームメーカー・カプコンがeスポーツの取り組みについて語る初の書籍が登場。
本書では、対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」のeスポーツ展開に取り組み、業界最前線を走り続けているカプコンが、現場目線からeスポーツについて語ります。
「ストII」誕生時から最新の取り組みまで、どのような思いでeスポーツに取り組んできたのか、その苦悩と挑戦。さらに新型コロナウイルス感染症によって迫られた無観客大会・オンラインへの体制変更など、余すことなく紹介。
また、「ストリートファイターリーグ」に参画する企業8社へのインタビューで見えてくる、他業種企業のeスポーツビジネス参入におけるポイント、チーム運営方針にも注目。
さらに、カプコン社長・辻本春弘氏のインタビューでは、ゲーム業界とeスポーツのこれまでを振り返りつつ、カプコンがこれから目指す展開など、eスポーツの未来についても熱く語られています。
ビジネスとしてeスポーツへの参入を検討している方はもちろん、eスポーツファンの方も広く楽しめる内容です。
Amazonより引用
ストリートファイタービジネスの鋭い分析を期待すると肩透かし
本の前半に書いてあるのはSFLについての概要です。
BANルールを廃止した経緯みたいな裏話的なことも書いてあるんですけれども、そこまで目を見張るような情報はなし。
良くも悪くも表向きの印象だけだなー、という感じ。
間違ったことは書いていないけれども、ストリートファイターやSFLの魅力の芯には触れていないというか。
個人的には、カプコンによるストリートファイターシーンの鋭い分析(鉄拳の原田Pのツイートみたいなやつ)を期待していたので、そこは残念。
eスポーツビジネス入門編とも言えるし、ストVシーンを熱心に追いかけているプレイヤー(具体的には、チゲ速や格ゲーチェッカーを見るぐらいの人々)には既知の情報だらけとも言えます。
オーナーインタビューは、e-sports参戦を考える企業さん向け
本の後半部分は、各チームのオーナーインタビューに割かれています。
それぞれの企業がどんな意図でe-sports業界に参戦して、SFLでどのような効果を期待しているのかを知ることが出来ます。
これからe-sports業界に参戦しようとしている企業の関係者の人には役立つ内容でしょう。
もちろん僕はそんな企業の関係者ではないのですが、微妙に気になっていた箇所に触れられていたことには満足しています。KADOKAWAがあのチーム編成になった理由とか、ブランドイメージ的にe-sports色がまったくない再春館が参戦した理由とか。
辻本社長の語るストリートファイタービジネスの今後
巻末ではカプコンの社長が今後のe-sportsビジネスの展望を語っています。
SFLによる地方創生や、選手たちのセカンドキャリアの創出、福祉や教育の場でストリートファイターを活用する等、色々とお話が出てきました。
今ではプロのセカンドキャリアなんて何も考えられませんが、あれだけ馬鹿にしていたe-sportsという単語が、いつの間にか世間に馴染んでしまいましたからねえ。
同じように、いつの間にか選手のセカンドキャリアが保証される世の中が来るのかもしれないですね。
「ストリートファイターの主戦場がアーケード、家庭用、PCと移り変わったのはマルチプラットフォーム戦略を行っていたのが要因のひとつ(要約)」なんてことも社長が言ってたのですが、大体のプレイヤーは好き好んでPCに移行してないんだよなあ……と思いました。
まあ、あくまでマルチプラットフォーム戦略は「一要因」として挙げているだけですけどもね。
インプットラグの都合でみんなが移行していることは当然承知しているでしょうし。
あとは、e-sports発展のために地方を重視しているようなことを書いてたのは嬉しいですね。
ストVの大会が無かったらあと10年は行かなかったであろう地域とかありますからねえ。
またルーキーズキャラバンみたいな地方行脚イベントはやってほしいところ。
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