カミヅキ記録帳

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僕たちは、『現実』よりも『盛った』ものを優先するようになっている:ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く/岡田斗司夫 感想【読書記録】

こうして世界はお馬鹿で楽しくなっていく。

ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (PHP新書)

 

 

著者について 

著者は岡田斗司夫

ガイナックス創始者で、社会評論家・アニメ批評のおじさんです。現在はニコ生で毎週日曜日に配信をしています。

このブログで岡田斗司夫を取り上げる回数が多いのは、単に僕がファンだからです。

camduki.hatenablog.com

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概要

「20年、30年というスパンで考えたら人間にはどんな仕事も残らない」「アニメやゲームなどすべてのバーチャルキャラクターは、人工知能によって自律的に行動するようになる」。若者が憧れる職業「ユーチューバー」でさえ、AIが取って代わる時代がすぐ目の前に来ている。十分な収入を得て生計を立てられるのは、一握りの才能だけ。「未来格差」を前に、特殊な技能のない私たちはどうすれば生き残れるのか。拡張現実、人工知能の進化、完全グローバル競争で激変する社会と人間の姿を透視する。

Amazonより引用

感想 

技術が変われば人間の価値観や仕事の形、恋愛の形も全て変わるというのが岡田斗司夫の昔書いた『ぼくたちの洗脳社会』での主張でした。

「マルチメディアの発達によって、歴史上初めてすべての人々が被洗脳者から洗脳者になるチャンスを与えられるようになる。それによって自由洗脳競争が始まる。
人々のニーズをつかみ、最も効率よくそれを生産して販売することによって、多くの富を得られるのが、自由経済競争社会。

それに対し、人々の不安や不満をつ かみ、最も効率よくそれを解消する方法を提案することによって、多くの尊敬と賞賛を得られるのが、自由洗脳競争社会。得られる利益は経済利潤ではなく、洗脳利潤、つまりイメージである」
これが「洗脳社会」「自由洗脳競争」の定義です。

 

ぼくたちの洗脳社会より引用

本の内容を大まかに説明すると

『今まではテレビや書籍などのメディアを通さないと人に大きな影響を与えることが出来なかった。しかしインターネットやSNSを通して誰でも影響力を与える側に回ることが出来る。その社会では古来からの土地・金以外の新たな指標として「どれだけ有名になって影響力を与えられるか」「どれだけ高評価を集めて良い人に見られるか」を競い合うことになる

といった感じです。

『ぼくたちの洗脳社会』はホームページで無料で読むことが出来るので、興味のある人はどうぞ。

blog.livedoor.jp

 

今回の本は『ぼくたちの洗脳社会』の続編的内容となっています。

『ユーチューバーが消滅する未来』というタイトルだけだと『機械がみんなの仕事奪って大変ですね』みたいな内容の本に見えるかもしれないんですけれども実は違うんですよ。

『テクノロジーの発展によって我々の価値観がどう変わっていくか』という内容の本です。

 

たとえば、『面白い』の基準も大きく変わりつつあります。

情報社会によって訪れた影響力至上主義の中で大切なことは『盛ること』であり、我々はありきたりな現実よりも『盛った虚構の世界』を面白いと思うようになってきています。

デジタルネイティブ世代は、SNSなどのネット社会で生まれ育っており、 自分を「盛る」ことが本能になっている。

ちょっと小洒落たカフェに行くと、とても食べ切れないような、生クリーム山盛りのパンケーキだとか、そんなものを注文している人が必ずいるじゃないですか。ラーメン二郎でトッピングを「マシマシ」にして、タワーみたいなラーメンを頼んだりとか。

こういう人は、注文した品を全部食べたいわけではありません。彼らにとってのクライマックスは、写真を撮ってSNSにアップして、「イイネ」をもらう時です。

なぜ彼らはそんなことをするのか?  

彼らは、世界や自分の人生を「デコりたい」「盛りたい」んです。

選挙に行ったところで、社会はそう簡単には変わりません。少々努力して勉強や仕事をしたところで、学校や職場での自分のポジションも変わらない。 

社会も自分のポジションも変わらないのなら、世界を変える唯一の方法は「盛る」ことだけ。

 

ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜くより引用

 ニュースサイトで増えてきた煽り見出しも、ありきたりな世界に彩りを加えるための『盛り文化』の延長線ではないでしょうか。

そして、タイトルにもあるようにユーチューバーも『盛り文化』とは無関係ではいられません。

今はバーチャルユーチューバー程度の見た目の盛りで済んでいますが、AIの発展により、近いうちにAIが自律して生活している様子を見るだけの配信が『盛り文化』の本質である、つまらない現実から離れたい欲に訴求して流行るのではないかと本では書かれています。

 

しかし、「だからこんな社会は間違っているんだ!!」とは書いていません。

個人がどう抗おうともみんな現実よりも都合のいい虚構を優先するし、この社会ではどうやっても人は判断力や思考力を失っていきます。

時代の流れがそうなるのは仕方ないのだから面白がりましょうと、諦めにも似た言葉で最後は締められています。

 

この本では、他にも

・新時代の恋愛様式

・政治の変化(特にトランプやプーチンなどのキャラが濃い指導者の台頭について)

といったことにもテクノロジーと価値観の変化という切り口で解説しています。

 

気になる人は是非買ってみてください。

 

 

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