カミヅキ記録帳

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その辺の『微妙な人生相談』を見るぐらいならこの本を読んでくれ:悩みのるつぼ〜朝日新聞社の人生相談より〜/岡田斗司夫【読書記録】

腕の良い奇術師のショーを見ているかのような本です。悩み相談本なのに。

悩みのるつぼ〜朝日新聞社の人生相談より〜

青い表紙が電書版で黄色い表紙が紙版です。

アマプラ会員なら電書版は無料で読めるので(20/10/14現在)、アマプラ会員の人は電書版で良いかと。

これが実質無料で読めるなんて良い時代ですなー。 

 

 

著者について

著者はオタキングの二つ名で知られている岡田斗司夫

エヴァやナディアを生み出した伝説的なアニメスタジオ、ガイナックスの創設メンバーでもあり、今はニコ生主・Youtuberとして活躍しています。

また、少し前までは朝日新聞の人生相談コーナーの回答者も務めていました。

 

概要

人生相談に役立つ思考ツール
●分析 エビデンス=証拠を求めながら、相談を読み解く
●仕分け 解決可能な項目と解決不能な項目に分ける
●共感 相談者の感情を共有する
●フォーカス 具体的な行動を提示する
●ピラミッド 構成要素を図解する ……etc.

父親が大嫌い、Twitterで悪口を書かれた、女優と結婚したい……こうした悩みを打ち明けられたとき、どんなアドバイスができるか。

朝日新聞beの人気連載「悩みのるつぼ」で、誰よりも相談者の気持ちに寄り添い、「役立つ回答」を編み出し、読者や相談者本人から絶大な信頼を誇る著者が、「回答」に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開。

人生相談と本気で格闘することで、問題解決のための分析力、思考力が身につく、画期的な書。

 

Amazonより引用

 

感想

この本で紹介されている方法は新聞に投書された悩み相談への回答に特化したものなので、書いていること全部が実生活で役に立つわけじゃないです。それでも悩みへの向き合い方を学ぶにはとても良い本だと思います。

考え方の本というのは色々あるんですけれども、大体はそもそも読んでて面白くない・実行できる気がしない・本に書いてある例以外で使えそうにないみたいな欠点を抱えてるイメージなんですよね。

でもこの本は面白い・真似しやすい・身近で応用しやすいで、なかなか使い勝手が良いです。

この本を最初に読んだのはもう6年以上前になるんですけれども、感想を書くために改めて読んでやっぱ面白いなーと思いました。

今読むと「うーん、ちょっと微妙」という回答も多少は見つかるのですが、基本的にはどれも的を外していないなという印象です。

前に取り上げた『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』よりかはこっちの本の方が回答の精度は高いと思います。

camduki.hatenablog.com

 

「考え方を学ぶ」みたいな大袈裟な目的じゃなくても、回答を楽しむような気持ちでも良いので手に取ってほしいです。

 

実際の相談文と回答文

最後に、実際に紙面に載った相談文と回答文を引用して掲載しておきます。

自分だったらどう答えるかを考えながら読んでもらうとより一層楽しめると思います。

父親が大嫌いです 2010/05/15 朝日新聞 朝刊

●相談者 女子高生 10代
10代の女子高生です。
父の休日は食べる、寝る、テレビの繰り返し。他のことは何ひとつやりません。仕事は自営業で、「忙しい」と言う時期もありますが、一日中テレビがついているようで、ちゃんと仕事しているのか不審です。最近は夜遅くまでケータイをいじっており、50歳にしてケータイ依存症で、意味がわかりません。
私は物心ついたときから父が嫌いで、母には「お父さんみたいにならないように」と、育てられてきました。幼い頃、2月の公園の噴水で私が遊びたがるからと父が遊ばせ、私は肺炎で入院したことがあります。
父への感謝の気持ちはこれっぽっちもありません。老後の面倒をみる気はなく、のたれ死ねばいいと思います。お父さんと仲がいい友達がとてもうらやましいです。父を好きに……なろうとしても、いいところなんて一つもないし、子供に無関心ですべて母に任せきり。最近は通知表も父には見せていません。
母は父との結婚は失敗と言っており、私は離婚してほしいのですが、経済的なことを考えると無理です。父がいる休日はイライラし、死んでほしい、殺したいという気持ちが強くなります。虐待でもされれば訴えられるのにと、楽しいはずの休日はストレスでつらくて泣くようになりました。どうすれば良いのでしょうか。思春期という理由で片付けないでほしいです。

 

自分ならどう答えるか考えました?

では実際の回答はこちらになります。

 

○回答者 岡田斗司夫
「お父さんみたいにならないで」。母はいつも言う。
不思議です。あなたは女、父にはなれません。なるとすれば母親でしょう。
「お母さんのようになっちゃダメよ」。こう言うべきです。
なぜ母は「私のような母親になるな」と言えないのか? ここがポイントです。「私のような母親」とはどんな母親でしょう。答えは簡単ですね。
自分に無関心・無頓着な夫と結婚し、離婚もできず、思いつく限りの愚痴を幼い頃から言い聞かせ、やがて娘が「父など死ねばいい」と思いこみ休日に泣いて過ごすように仕向ける母。それが「私のような母」です。
本当に最悪の父なら、なぜ母は離婚しないのか? これも簡単、ちゃんとストレスのはけ口があるからです。自分の言い分を全部信じる娘に毎日悪口を言ってストレス発散してる。だから母は耐えられる。つまりあなたの犠牲の上に、母は暮らしている。
あなたの父親像は、母の愚痴でできている。寒い中、娘にせがまれて公園まで連れて行く父。はしゃいで寒いのも忘れ夢中であなたは噴水で遊んだ。でも風邪を引いたあなたに母は「父が悪い」と吹き込みます。繰り返される呪いの言葉が楽しい思い出を消してしまったのです。
人間は弱い。誰かの愚痴や文句を言わないと生きていけない。
母の不幸は、家に閉じこめられて、視野が狭いことです。趣味が「父のダメ出し→娘に吐き出し」だけ。こんなの誰の得にもなりません。
ではどうするか? あなたがこのマイナス連鎖を切りましょう。誘ってあげて、お母さんの興味を外に向けさせる。これができれば、状況はかなり改善されるはずです。お母さんと一緒に映画やショッピングや旅行をする。そのために、あなたがバイトをするのもアリ。お母さんにもパートに出ることをどんどん勧めましょう。
パートをすれば、お母さんの世界も広がるし、お金も、できることも増えます。本当に最悪な父なら、あなたと母が一緒に働いたら独立も可能でしょう。
難しすぎますか? じゃああなただけでも逃げてください。たった3人家族で2人が1人の悪口を言い合ってる家は地獄ですよ。高校生ならもう働けます。
逃げなさい。さもなければ、母を助けなさい。

 

 

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