『瓶詰地獄』感想 たった10分で読み終わるからこそ、無限に読むことを強要させられる

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瓶詰地獄

瓶詰地獄

 

 

 ああ………この離れ島に、救いの船がとうとう来ました。
 大きな二本のエントツの舟から、ボートが二艘、荒波の上におろされました。舟の上から、それを見送っている人々の中にまじって、私たちのお父さまや、お母さまと思われる、なつかしいお姿が見えます。そうして……おお……私たちの方に向って、白いハンカチを振って下さるのが、ここからよくわかります。
 お父さまや、お母さまたちはきっと、私たちが一番はじめに出した、ビール瓶の手紙を御覧になって、助けに来て下すったに違いありませぬ。
 大きな船から真白い煙が出て、今助けに行くぞ……というように、高い高い笛の音が聞こえて来ました。その音が、この小さな島の中の、禽鳥とり昆虫むしを一時に飛び立たせて、遠い海中わだなかに消えて行きました。
 けれども、それは、私たち二人にとって、最後の審判の日の※(「竹かんむり/孤」、第4水準2-83-54)らっぱよりも怖ろしいひびきで御座いました。私たちの前で天と地が裂けて、神様のお眼の光りと、地獄の火焔ほのお一時いっときひらめき出たように思われました。

ああ。手がふるえて、心が倉皇あわてて書かれませぬ。涙で眼が見えなくなります。

 

以上、青空文庫より瓶詰地獄を冒頭の途中までコピペしてきました。

もう著作権が切れているので無料で公開されています。上のKindle版も無料。素晴らしい時代になりました。

コピペしてきた部分が気に入ったのなら、今すぐ続きを読んでほしい。10分程で読み終わることが出来ます。

夢野久作 瓶詰地獄

 

一文一文の情報量が信じられないぐらい濃密で、繰り返し読むほど、情景が浮かび、余計にわからなくなる。わからないから作中の手紙を繰り返し読んでしまう。繰り返し読むと新しいことを発見してしまう。堂々巡りの地獄。

なるほど、瓶詰地獄で彷徨うのは作中人物ではなく読者の方なのか。いや、素晴らしい。

 

さて、読み終わった後に、思わず他の人の感想をググったのですが、みんな作中の考察しか書いていなくて、なんというかモンニョリしました。

確かに魅力的な謎が多く提示されているところは、この作品の良いところです。

しかし、そもそも謎を抜きにしても、思わず繰り返し読みたくなるほどに面白いのが、この作品の真の魅力だと思うんですけれども。

 

後から知ったんですが、この本は竜騎士07が『うみねこのなく頃に』のモチーフにしたんですってね。確かに似ている。何か雰囲気がぐちょぐちょしてるとことか。

プロフィール

読書好きのゲーマー。
ゲームは無双みたいなライトな物が好き。
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