【読書感想】お前らの望む便利なヒットの法則は無い(ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで/ デレク・トンプソン)

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この一冊を読めばヒット作の秘密が……何もわからないっ!!

むしろ一発当てることが如何に不確定なカオスに満ちているかがよくわかる本。

ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで (早川書房)

 

 

 

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概要

スター・ウォーズ、ウォーキング・デッド、フィフティ・シェイズ・オブ・グレイなどの世界的コンテンツから、ビートルズ、ポケモンGO、インスタグラム、モナ・リザ、大統領演説、人名にいたるまで、あらゆるものを俎上にのせて打ち立てるヒットの統一理論。

 

Amazonより引用

 

お前らの望む便利なヒットの法則は無い

「世の中でヒットする物にはシンプルな法則がある!!」ということを教えてくれる本と見せかけて、実はそんなものは無いということを長いページをかけて教えてくれる本です。そう、無いのです。そんな都合の良いものは断じて存在しない。

とはいえ、ヒットしたものに全く共通点が無いかと言うとこれまた無いわけではないんですよねー、という話でもあるので何だか煮え切らない本です。この煮え切らなさが逆に真実味があるというか。

アメリカの本特有の長尺のたとえ話が入るのが鬱陶しかったですけれども、クリエイティブなことやマーケティング的なことをやってる人なら読んでおいて損は無いかもしれません。

 

「うっせぇわ」に潜む『反復』と『流暢性』の魔力

書いてある要素を全部紹介するのは大変なので、いくつかだけ紹介します。
突然ですけれども、強烈な曲って一度聴いたらしばらく耳から離れないじゃないですか。最近だと「うっせえわ」とか。

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あの曲がヒットした要因は、この本に沿って考えるなら「反復」と「流暢性」を備えているからだと分析出来ます。
反復は人間って同じメロディーとか繰り返しを好むよねーというシンプルな話。サビの「うっせぇうっせぇうっせぇわ」という繰り返し部分が耳から離れなくなるというのは言わずもがなですね。歌詞に限らず上手い繰り返しは言葉を名言のように錯覚させる効果があります。人民人民による人民のための政治とかね。
流暢性はわかりやすいストーリー、既に賛成している考え方、はっきりとした用途のこと。人間の脳は自分が理解出来るものには好感度を抱きやすいという話です。「うっせぇわ」の歌詞で描かれているストーリーがある種の人間にとって心地いいことは容易に想像出来ます。

こうやって書いてみると「うっせぇわ」という曲が流行るべくして流行った気がしてきましたね。しかし良い物を作ったからといって、それが必ずしも評価されるわけではありません。評価されるにはたくさんの人に聞いてもらわないといけませんから。
次は拡散の方法について書いてあることを一部だけ紹介します。

 

口コミよりもインフルエンサー

テレビを見てると「口コミで人気のコンテンツ」みたいな紹介のされ方をするのを見たことがあると思うんですけれども、この本では口コミはヒットのためには実はそこまで重要じゃない可能性が示唆されています。

これは「口コミって必要無いのか!」という話ではなく、ヒットの理由を説明する際に一番の理由として挙げにくいという話みたいなんですよね。じゃあ一番大事なのは何かと言うと、影響力のある人間がその情報をシェアをすることです。

言われてみれば過去に僕のツイートがちょっとしたバズ状態になったときは口コミ的に誰かから誰かに広がったわけじゃなくて、最初は小さなバズ状態から始まって、そこから有名な誰かのリツイートで爆発的に広がるパターンが圧倒的に多いんですよね。

「うっせぇわ」がバズった経緯は調べても詳しいものが出てこなかったのですが、ピコ太郎のPPAPがバズり方の例としてわかりやすいかなと思います。

あれは元々小さなバズ状態だったのがジャスティンビーバーの目に留まったというのが大ブームのきっかけらしいですね。

この本の最終的な結論は流行るかどうかは戦略も大事だけど運が絡みまくるよー、という身も蓋もないものなのですが、夢を追うにはまず目の前の苦い現実を受け入れてからですよね。

自分の持っているコンテンツをバズらせたいという大いなる野望を持っている人は読んで損がない本だと思います。

  


 

 

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