【映画感想】質の悪いJ-POPみたいなメッセージを120分受け取り続けるのはちょっと……(おおかみこどもの雨と雪/細田守特集④)

アニメ
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細田監督は時かけとかオマツリ男爵のときはもっと突き抜けて面白い物が作れてたのに、サマーウォーズからはずーっと迷走してるように見えます。何だか押しつけがましく感動を強要してくる映画は苦手です。

おおかみこどもの雨と雪

 

 

 

 

 

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あらすじ

東京の郊外の大学に通う花(はな)は、おおかみの血を引く《おおかみおとこ》「彼」と恋に落ちた。共に暮らし始めた二人の間に生まれてきた子どもたちは、「人間とおおかみ」のふたつの顔を持つ、《おおかみこども》だった。二人は、雪の日に生まれた姉に雪(ゆき)、雨の日に生まれた弟に雨(あめ)と名づけた。4人のつつましくも幸せな日々は、「彼」の死によって突然奪われてしまう。残された花は、「二人をちゃんと育てる」と心に誓い、子どもたちが将来「人間か、おおかみか」どちらを選ぶこともできるように、豊かな自然に囲まれた田舎町のおんぼろの古民家に移り住むことを決意した。 

Amazonより引用

 

120分続く三文J-POPアニメ

僕ははっきり言ってイマイチな映画だと思ったんですけれども、この映画が好きだという人が存在するのは分かるし否定はしません。

漠然と「良い話が見たい」と思っているなら面白いと思います。

画面いっぱいに映る自然の風景は見ていて圧倒されるし、ヒロインのお姉ちゃんとお母さんはめちゃくちゃ可愛いですし、親子の絆の描写も素敵ですしね。親子三人が雪の上で転がり回るシーンはそれら三つの要素が全部嚙み合っていて、見ていてめちゃくちゃ気持ちいいんですよね。

作品から120分物もの間垂れ流される「自然ありがとう」「お母さんありがとう」「人の絆ありがとう」みたいな三文芝居ならぬ三文J-POPみたいなメッセージも人によっては刺さると思います。

でもこのアニメから伝わるものってそれだけなんですよね。J-POPは5分で終わるから良いんですけれども、120分ずーっとそんな深みも面白味も無いメッセージを浴びせられ続けたら僕は飽きます。

 

お姉ちゃんだけが唯一揺れ動いている

僕なりにこの映画が面白くない理由を考えて行き当たったのが、お姉ちゃんの雪以外のキャラクターが全部薄っぺらいことなんですよね。

僕が物語を面白いと思う瞬間は、登場人物が「本当は自分はこんな風に生きたい。でもそんな生き方は簡単に選べないんだ」という二つの気持ちの狭間で葛藤している瞬間だと思うんですけれども、その揺れ動きがお姉ちゃんにしか存在してないと思いました。

お母さんは最初から最後までずーーーーっと絵に描いたような良妻賢母みたいなお母さんで、弟は印象が薄くて感情移入がしにくい、近所の人もみんなが最初に思い浮かべるような人情に篤くて何だか知らないけれども都会を馬鹿にしている田舎の人。

その中で唯一、お姉ちゃんの雪だけが、人と狼の間に生まれた子供という自己のアイデンティティに揺れ動く描写があるキャラです。

でも、この映画の主役って親子三人なんで、単純に考えて全体の1/3しか面白くないんですよ。残りの2/3はJ-POPの歌詞を20倍ぐらいに希釈したようなキャラが映ってるだけなんですよね。

 

これが好きだという人の気持ちは分かるんですけれども、僕はだいぶ厳しかったです。

 

 


 

 

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