人気芸人・又吉直樹が書いたうえに、かの有名な芥川賞を受賞したことで有名な作品です。
良くも悪くも本の評価にネームバリューが影響してしまっていて、「芸人が書いたから受賞しただけで大して面白くない」だの「芥川賞だと思って期待してたのにガッカリだ」だのと批判される一方で、「人間を描き切った傑作」なんて言う声もあるようで、まさに賛否両論になっている小説のようです。
僕はというと、この本に対して面白いけれども、そこまで好みじゃないという評価を下しています。
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あらすじ
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。
神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
第一五三回芥川賞を受賞し、累計発行部数283万部を誇る傑作が待望の文庫化!
Amazonより引用
そもそも芥川賞とは何か。
まず芥川賞というは純文学の賞なんですよね。
なので、火花は純文学として評価されたということです。
純文学というのは、僕なりの解釈なんですけれども人の心の動きの描写に重きを置いたものや、そもそも描写そのものが美しいとか、読んだ感じの芸術点が高いものをそう呼ぶのだと思っています。
純文学と反対の小説は大衆小説、あるいはエンタメ小説と呼びます。ミステリーとかSFとか娯楽性の高いものがこれに当たります。
ここで「大衆小説だって芸術点高い小説はあるだろう」という突っ込みが出ると思うんですけれども、そもそも小説をジャンル分けするのが難しいので、その辺の区分は割とふわっとしています。
スマブラが格闘ゲームか否かという論争に近いと言えば、ゲーマーには伝わるでしょうか。
ここまでで何が言いたいかと言うと、火花は純文学として評価された作品なので胸がスッキリするようなオチとかは無いですよということです。
凡人芸人と天才芸人のすれ違い
この小説の主要な登場人物は主人公の徳野と、彼が師匠と崇める神谷の二人だけです。
神谷は圧倒的なお笑いセンスがある天才芸人なんですけれども、世間とズレていようが何だろうが自分が面白いと思ったものしか披露出来ない職人タイプの不器用な芸人なんですよね。
神谷のスタンスはお笑い芸人としては確かに尊いものです。しかし彼の尊さとは無関係に世間と迎合出来なければ””売れる芸人””にはなれないわけです。
この作品は、凡人でしかない芸人・徳野が何とか天才芸人の神谷に食らいつこうとしたことで起こってしまったすれ違いと、彼らが身を投じた『お笑い芸人』という道の残酷さを描いた小説です。
文章が説明過多なような気が。
僕は純文学に対するレーダーが低いので適当に聞き流してほしいのですが、僕がこの小説の評価がちょっと低めな理由は文章が好みじゃないからです。
読みにくい……とまでは言わないんですけれども、何のための描写なんだか分からない描写が多いんですよね。会話文のテンポが良い分残念でした。
あと、師匠の『人間的な脆さ』の描写がくどかったです。
この作品は主人公・徳永の一人称視点で進行するんですけれども、ことあるごとに天才芸人である師匠の脆さがさりげなく描写されるんですよね。
1回や2回ぐらいなら「さりげなく人間的な脆さを描いてて上手いなー」って感心するんですけれども、何回も何回も気弱さを示すさりげない描写が出てきて「もうええっちゅうねん」ってなりました。
最初にも書きましたけれども、人の心の揺れを描いた作品なんで好みはあると思います。僕ははっきり言って純文学よりエンタメ小説のほうが好きです。
でも2時間ぐらいで読み終えられるし、プライムリーディング対応作品(つまりプライム会員は実質無料!!)なんで気になってる人はこれを機に読んでみたらいいと思います。
読者登録してもらえるとモチベにつながります!!
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