カミヅキ記録帳

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【読書】このシリーズもそろそろネタ切れかー?(銀翼のイカロス(半沢直樹シリーズ)/池井戸潤)

半沢シリーズらしく敵をぶちのめす瞬間は爽快感があるものの、そこに至るまでの過程が好みじゃなかったです。 ドラマ版は面白かったんですけれども、小説版は半沢シリーズにしてはちょっと渋い出来。

ドラマ「半沢直樹」原作 銀翼のイカロス: 2020年7月スタートドラマ「半沢直樹」原作

 

 

 

【目次】

 

あらすじ

半沢直樹が帰ってきた!
今度の敵は政治家だ!

出向先から東京中央銀行本店に復帰した半沢直樹に頭取から大仕事が降ってきた。破綻寸前の航空会社、帝国航空の再建を担当せよというのだ。だが折しも政権が交替。新政権の国土交通大臣は野心にみちた女性閣僚は帝国航空再生タスクフォースを起ち上げ、半沢たちに巨額の債権放棄を要求してきた。
500億円もの借金の棒引きなんてとんでもない! だが相手が大臣ではさすがの半沢も容易に突破口を見いだせない。しかもなぜか銀行上層部も半沢の敵に回る。この一件のウラには何があるのか? かつて半沢と舌戦をくりひろげた「金融庁一の嫌われ者」、オネエ言葉の黒崎駿一の思惑もカラみ、銀行に隠された大きな闇も見え隠れする。
果たして半沢の運命やいかに?
痛快度100%、無敵のエンタメ小説「半沢シリーズ」第4作、待望の文庫化です!

 

Amazonより引用

 

半沢に叩きのめされるために人生を送ってきたようなデブ

半沢シリーズといえば「倍返し」。とんでもなく嫌な奴をギャフンと言わせる展開が人気の小説。今回の敵はなんと与党の閣僚がバックについた銀行嫌いの弁護士。敵が持つ権力の巨大さに「倍返し」への期待も高まろうというもの。

しかもその敵役となった銀行嫌いの弁護士のビジュアルも酷い。樽のような体型で黒縁メガネ。ソファーにどっかりと座りながら煙草の煙を鼻からハの字に噴き出してくるわけですよ。「鼻からハの字に煙を噴き出すデブ」なんて漫画ではたまに見ますけれども小説では初めて見ました。もう見るからに憎たらしい、見るからにやられ役。果たして現代日本にこんな典型的な嫌な奴がいるのだろうかというレベル

と、敵のインパクトは十分だったんですけれども、舞台となった「帝国航空」が再生する過程があまり描かれなくて、銀行の内輪揉めの話に終始していたことが今回は残念でした。

 

半沢シリーズは落ちぶれた企業が再生するところが面白いんだよ……

僕がこの小説シリーズを好きなのは銀行小説としての面白さだけでなく、企業再生物語としての一面もあるところなんですよね。

特に今回の「帝国航空」は交通インフラ企業という立場に甘んじて堕落しきっているうえに、企業のOBとの板挟みにあっている状態で、この会社がどのように再生していくのか、どのようにOBを納得させるのかを楽しみにしていたんですよ。

でも、いつの間にか話が政府との対決と銀行の内輪揉めの話にすり替わっていて、なんだか期待していたものと違うなあと。ドラマ版は企業再生の部分もきちんとやってくれてたんですけれども。

 

全体的に、過去作と比べるとちょっと落ちる

半沢シリーズは業界の豆知識で知的好奇心を満たしてくれるのも好きなんですけれども、この部分も今までのシリーズほど面白みを感じられなくて残念。

小説版はドラマ版に比べて情報の密度が高いことが一番の魅力なんですが、登場人物の心の動きや地の文で説明される金融の知識にもあまり惹かれなかったです。既に過去のシリーズで説明されているような銀行の内部事情の話が主だったからですかね。

心理描写でいえば半沢よりもメンタルが弱い近藤を主人公にした2作目、業界知識でいえば1作目と3作目が良かったのですが、今作はいずれの描写も過去のシリーズに負けていると思いました。

 

とはいえクライマックスは相変わらず爽快感もあるし、エンタメ小説としては全然悪くないです。でもこのシリーズもそろそろネタ切れかなーという気がします。

シリーズ最新作の「アルルカンと道化師」はまだ買ってないんですけれども、とりあえず保留ですかね。

 

 

 

 

 

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