カミヅキ記録帳

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【読書】森見文体のせいで何もかも台無し(有頂天家族/森見登美彦)

実在する京都の土地を舞台に、狸と天狗と人間の三つ巴という設定はどう考えても面白いんですけれども、結局「面白そうな設定の羅列」だけで終わってしまっているのが残念でした。

クライマックスに一定の盛り上がりはあるんですけれども、そこに至るまでに本当にこのページ数が必要だったのかが分からず、本が面白いから読んでいたんじゃなくて「お金を出して買った本を読み終えた」というトロフィーが欲しいがために頑張って読みました。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

 

 

【目次】

 

あらすじ

登美彦氏史上、これまでになく毛深く、波乱万丈。(登美彦氏談)

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。

が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。

 

Amazonより引用

 

童貞文体+家族愛の相性の悪さたるや

森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」は童貞の悲哀をオモシロオカシク綴った童貞文学として秀逸だったんですけれども、今回の主人公の性格は「面白さ第一主義」。ちょっと恋愛に奥手なところはあるんですけれども、先に挙げた二作の主人公と比べると童貞成分は低め。

僕の中で森見登美彦の独特の文体は主人公がしゃらくさい童貞だから許されていたものであって、彼の作品から童貞臭が消えて文体だけ残ってしまうと「語彙力が豊富なことをひけらかしているような鼻につく文章」にしかならなくて、読んでいて主人公とのシンクロ率があまり上がりませんでした。というより辛かったです。

 

森見文体のせいで何もかも台無し

彼の文体センスは天才的な物だと思うんですけれども、読んでて辛いとなるとただ冗長な説明文にしかなりえず、回りくどい割には話が一向に進まなくて読んでてイライライライラ。

シーン単体で切り抜くと面白いところもあるし、ベタに家族愛で泣かせにくるところもあるんですけれども、そこに至るまでに森見登美彦文体を潜り抜けないといけないのが苦痛でした。

続編も出版されていて、アニメ化もしているので、さぞかし名作なのだろうと思ったのにだいぶ期待外れ。発想自体は面白いし、僕に合わないだけで文体も凝っていると思うので、この本が好きだという人の気持ちは分かりますけれどもね。

 

 

 

 

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