カミヅキ記録帳

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全曲の感想と歌詞の考察(現象の花の秘密 / 平沢進)

アクセス数で見る限り、地味に人気コンテンツになってる平沢進の話シリーズです。

 

現象の花の秘密

 

いつものヒラサワソングと比べて音が圧倒的に少ないので、一部では手抜きと揶揄されていたアルバムですね。

どこかでヒラサワ自身が「手抜きとか言われてるけど手間かかってるし」と反論していた気がします。『Back Space Pass』配信だったと思うんですけれども。

 

現象の花の秘密

現象の花の秘密

  • アーティスト:平沢進
  • 発売日: 2012/11/23
  • メディア: CD
 

 

 

【目次】

 

現象の花の秘密


現象の花の秘密 (Full Ver.) by 平沢 進

 

表題曲。チェーンソー。

物語の始まりを告げる曲ですね。

WelcomeというP-MODEL時代の曲の歌詞がそのままタイトルに使われているのは有名な話。

仮の歌詞を作る時に過去の歌詞をそのまま流用することがあるらしいんで、それでたまたま使ったWelcomeの歌詞がしっくり来たのかなと。

この曲といえば「らーんらーんいーやおーやおいやいやー」ですが、多分これは仮歌で適当に当てはめた言葉がしっくり来すぎて後に引けなくなったパターンだと思われます。

歌詞中のGはグラビティ(G 落ちる星の)、Tはタイム(T 時の修練の)、Eはエネルギー(E 力を得た)というところまではカタいと思うのですが、そこから先が難しい。

Ψは心理学を表す記号らしいから、多分ありのままを映す心のことかなーって思ってます。(Ψ 見えるままの 花園のように眠る)

μはマイクロという意味なんですけれども、自分と限りなく近い場所(あるいは心の内側?)からビオラに名前を呼ばれているからμを使っているのかなと妄想。(μ 知らぬ深淵で キミの名を呼ぶビオラ

Cはガチでお手上げです。解釈に幅がありすぎて特定は無理。

花についてですが、フリージアは星が落ちる(流れ星?)、ガーベラは時間の経過、サルビアは力の流れ、とこんな感じで、世の中の花という花は一見無関係に見える”現象”と密接に結びついているというSF的な内容の歌詞だと理解しています。

このアルバムのインタラでも花の役割はそんな感じだったと思います。

花と花の関係性が物理現象を呼び起こし、物理現象と物理現象はぶつかりあって様々な化学反応を引き起こすことで人の心に物語を生み出し、キミさえも生み出す、というイメージが僕の中に生まれてるんですけども……僕の考えてること伝わるでしょうか。

 

幽霊船

個人的に4つ打ちドラムが混じった『WORLDCELL』版の幽霊船がいたくお気に入りだったりします。

曲の最後に『さあ幕を引け 有りもせぬ 連綿と憑依する物語』という歌詞があるのですが、平沢進さんは人間は何でもない物事に『もっともらしい文脈』や『もっともらしい背景』を与えられることでありもしない物語を植え付けられて何でもないものを憎悪したり、困難に思うように操作されているという考え方の持ち主なんです。

この『文脈』という考え方は、ヒラサワ作品に良く出てきます。

というかほぼ毎回これがテーマ。

 

さて、幽霊船の歌詞ですが、『回=回』収録の幽霊飛行機でも、幽霊という単語に何かこの世の『真理とされているもの』を倒す秘密組織的なイメージを付与した歌詞を作っていらっしゃったので、幽霊船も多分そんな感じだと思います。

「懺悔する強者 突破するルーザー」という歌詞にその風味を強く感じます。

 

華の影

ヒラサワのワードセンスが光る曲。

神を!目指す無頼漢!!が特に最高。歌詞もメロディも。

『知らぬ間に咲き誇れ 主説転倒の種子の萌芽よ』という歌詞がいかにもヒラサワらしいというか、まあ、ヒラサワがいつも送ってる世の中でメジャーとされてる説が必ずしも正しいとは限らない的なメッセージですよね。

 今回はそのメジャーな説から離反することの出来た、いわゆる目覚めた人たちを『孤軍』と表現して、彼らが常識という名の魔女狩りに遭う前に奇譚(=常識とは違う話)という名の華の影に隠れてやりすごそうぜ!という内容の歌詞かと。

 

脳動説

脳動説というのは世界は文脈と連想によって脳が生み出してしまう物語で回っているというヒラサワなりのダジャレです。多分。

「そびえる脅威シナプスのせい」という部分はまさに、脳が脅威を生み出しているという話かと。

歌詞中でガリレオが出てるのは、当時異端扱いされていたけれども後年正しさを証明されたというところで自分とガリレオを重ねあわせているっぽいですね。

「俺もいつか正しいと言われるよね!ガリレオみたいに!!」という意味で、ガリレオへGOなんだと思います。

 ちなみに平沢進公式の替え歌は「サイパンから失禁教師」です。覚えておきましょう。

 

盗人ザリネロ

何もわかりません。

ザリネロが”帰結”を盗むことで、キミの朝すらも奪うというところまでは分かったんですけれども。ちょっと話が抽象的すぎる。

 

侵入者

 「鍵は全ての性を断ち、消えた」という歌詞から、文脈からの解放を意味する歌詞だと思います。

「初めからある忘れられた街、初めから無い知り尽くした日々」という歌詞は文脈から解放されたことで、街はまっさらな視点で見ることが出来、知っていたと思っていた日常は文脈から切り離して見ると何も知らないことに気付いたということなんじゃないかなーと。

その文脈からの解放を促す何者かを『侵入者』と表現してるんだと思います。

デジャビューというのは何かと言うと、「文脈に支配される前の、本来の自分からの呼び声」とかなんじゃないでしょうか。

 

Astro-Ho! Phase-7

唯一のバカコーラス曲。

歌詞中のボギーが何かは分からないんですけれども、真実に目覚めた人の曲でしょうねこれ。

ちょっとヤバい目覚め方してる気がしないでもないですが。

(目視に記憶に希望に符合 ビジョンは端麗整合 整合整合整合)

 

Amputee ガーベラ

アルバムを通して聞くと「めっちゃ良い曲やん」って思うんですけれども、単体では絶対に思い出せない不思議な曲。のびやかな声が好きなんですけどね。

Amputeeというのは切断という意味で、ガーベラは花の名前だけでなく、折茂昌美さんの曲名でもありますね。

折茂昌美さんは片足が義足なんで、彼女の存在がイメージの発端となってるのはまず間違いなさそう。

歌詞は誤った文脈(物語)から解放されたことを祝うものとなってますね。ストレート。

(物語を閉じてキミの日を祝うよ 必然の花咲く誰にも見えるキミの)

 

冠毛種子の大群

ラスボス曲。

インタラでは破滅とか終末を表現する曲のように扱われていましたね。

歌詞中に出てくる「トーチカ」とは防衛拠点のことのようです。

このアルバム中で、花は良いもののように描かれていましたが、冠毛種子の大群に関しては違うようですね。

歌詞を読む限り、冠毛種子の大群は人の文脈(物語)を狂わせる力があるようで。(無根の逸話を咲き狂う胸 現の全てを嘆きで産む)

それをトーチカで迎撃しろ!!というような内容に見えます。

 

空転G

『存在するはずのない懐かしさ』を想起させる不思議な曲です。

最初に聴いたときは、曲が優しくて何故か涙が出そうになりました。

あまりライブでやってくれないのが悲しい。

片輪だけ軋むバイクや前方だけ沈むボートとか、ガラクタしか自分のところに来なくてどこにも行けないんだけれども、でも別にどこにも行けなくてよくない?という曲だと思ってます。

空転Gという言葉自体は「どこにも行けない」という意味だと思うんですけれども、Gの部分が何を指すのかは不明。どーせ本人にしかわからないやつなんで無視します。

投げやりで生まれた歌詞らしいからサハリンとかチェンライとかの国名も無視。多分、サハリンと片輪が似てるから歌詞に使いたくなったとかそんなんでしょう。

 

 

 

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