カミヅキ記録帳

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可愛いのは表紙だけだった:連続殺人鬼カエル男/中山七里 感想【読書記録】

色んな意味でこんなんよく実写ドラマ化したと思います。

連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫)

 

第8回『このミステリーがすごい!大賞』で『災厄の季節』と『さよならドビュッシー』がダブルで最終選考に残ったことで話題になった人です。同じ作者の作品が二つとも最終選考に残るのはこれが初めてだそうです。

このブログだと『このミス』作品は過去に『Another』と『葉桜の季節に君を想うということ』を取り扱ったことがあります。

camduki.hatenablog.com

 

camduki.hatenablog.com

 

 

あらすじ

史上初! 最終候補にダブルエントリーされ、「こっちを読みたい!」という声が続出した話題作。『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』に続く中山七里の最新刊。『このミス』ファン待望の作品が、満を持して登場!
マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。

 

Amazonより引用

 

感想

表紙の絵に釣られてちょっとコメディタッチの小説なのかなと思ってたんですけれども、とんでもない。カエル男という名前は、被害者をまるでカエルのように扱う犯人の異常性が由来でした。

この作品でテーマとして取り上げられているのは精神障碍者のような心神喪失者の責任能力を無しとする、あるいは軽減するとされている『刑法三十九条』の是非です。

三年前の夏、松戸市内の住宅街でその事件は起きた。三人家族、夫が仕事に出、妻と三歳の娘が在宅していた昼下がり、配管工を装った当時十七歳の少年が部屋に押し入り、妻を絞殺の上で 死姦、泣き出した娘を鉄パイプで殴殺したのだ。少年は逃亡の末に逮捕されたが、弁護士の要請した精神鑑定の結果、犯行時には統合失調症であったと刑法三十九条の適用が為され、一審は無罪判決となった。検察が鑑定実施は不要と判断したまま控訴していたが、つい最近高裁は控訴を棄却し、ここに少年の無罪が確定した。その間、残された夫はたった一人で弁護側に立ち向かい、世間に対しては刑法三十九条の不合理さと遺族の無念さを訴え続け、その姿は逐一マスコミに報道された。高裁棄却の瞬間、天を仰いで号泣した夫の姿は大衆の同情を誘ったが、司法当局の考えを変えさせるまでには至らなかった。刑法三十九条を見直すべきという意見も途中で立ち消えた。

だが古手川は刑法三十九条の見直しよりは心神喪失 という定義を厳格にすべきではないかと思う。心神喪失、或いは心神耗弱 したにしてはそういう人間が手に掛けるのは決まって女子供だけで、間違っても暴力団の事務所や相撲部屋に乱入しないのは十分に判断力が備わっているからではないか。

 

連続殺人鬼カエル男より引用

作中では主人公の古手川という刑事の思考の中で明確に刑法三十九条を批判しています。

精神病ネタは取扱いに気を付けないと関係各所からクレームが来る印象だったので、「よくこんなもんをテーマに選んだな」というのが正直な感想です。

物語が後半に向かうにつれて民衆がカエル男の恐怖でパニックに蝕まれる様子はよく出来ていると思うのですが、主人公の格闘シーンがやたら長すぎるのはちょっとマイナス。半分ぐらいの分量でちょうどいいと思います。

そして何重にもどんでん返しがあるのは良いけれども、最後のどんでん返しはちょっとやり過ぎ感。そこまでやっちゃうと個人的にはイマイチだなーって感じです。

決してつまらない小説ではないんですけれども、あまり僕の肌には合わなかったです。

 

続編の「連続殺人鬼カエル男ふたたび 」もキンドルセールのときにまとめ買いしたので近いうちに読んで、それの感想も書きます。

 

 

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