夏目漱石の”こころ”で、お嬢さんが大して可愛く描写されていない理由を考えた

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私が管理人をしている読書ラインっていうライングループがあるんですけれども、そこでおすすめを聞いたら夏目漱石の「こころ」って返ってきたので読みました。

こころ (マンガでBUNGAKU)

こころ (マンガでBUNGAKU)

 

ところでアフィで貼ったこの本は読んだことないんですけれども、表紙の人物は夏目漱石でしょうか。何故夏目漱石の小説の表紙に夏目漱石が描かれているのでしょう。まあ、どうでもいいんですが。

 

はい、本題。お嬢さんの話。

先生は、過去に間違いを犯してしまった理由を「恋愛の嫉妬」のためだと作中で自己分析をしているんですけれども、その割には手紙の中でお嬢さんが魅力的に描写されていないんですよね。

先生ほどの文章力でお嬢さんが可愛く描けてないのは絶対おかしいでしょ。だってKについては、自分にとっていかに魅力的な人物だったのかが描写されてるわけですよ?

ことにKは強かったのです。寺に生れた彼は、常に精進という言葉を使いました。そうして彼の行為動作は悉くこの精進の一語で形容されるように、私には見えたのです。私は心のうちで常にKを畏敬していました。

 確かに手紙の最初の方にお嬢さんがいかに素晴らしいかは描いてあったのですが、Kが登場してからはお嬢さん自体の描写は少なくなってきて「お嬢さんはKに○○をした」「自分はKと比べてお嬢さんに○○された」といった具合に、Kに対する優越感を示す道具としての使われ方が多くなったような気がするんですよね。

つまりお嬢さんは私だけに解るように、持前の親切を余分に私の方へ割り宛ててくれたのです。だからKは別に厭な顔もせずに平気でいました。私は心の中でひそかに彼に対する凱歌を奏しました。

ぜひお嬢さんを専有したいという強烈な一念に動かされている私には、どうしてもそれが当然以上に見えたのです。ある時はお嬢さんがわざわざ私の室へ来るのを回避して、Kの方ばかりへ行くように思われる事さえあったくらいです。

 たまに描いたかと思えば「こんなときに笑う女が気に入らない」とか言い出す始末。

私は何か急用でもできたのかとお嬢さんに聞き返しました。お嬢さんはただ笑っているのです。私はこんな時に笑う女が嫌いでした。若い女に共通な点だといえばそれまでかも知れませんが、お嬢さんも下らない事によく笑いたがる女でした。

  よく読み返すと、確かに先生はKに対して畏敬の念を抱いているんですが、Kを世話するようになってからKへのマウンティング欲がバリバリなんですよ。

今まで書物で城壁をきずいてその中に立て籠こもっていたようなKの心が、段々打ち解けて来るのを見ているのは、私に取って何よりも愉快でした。  

 Kはお嬢さんが学問以外に稽古けいこしている縫針だの琴だの活花だのを、まるで眼中に置いていないようでした。私は彼の迂闊を笑ってやりました。そうして女の価値はそんな所にあるものでないという昔の議論をまた彼の前で繰り返しました。

 どうも先生は「恋愛感情をこじらせたせいで親友を死に至らしてしまった」と自己分析しているようなのですが、これは恐らく間違ってて「かねてから尊敬しているKを世話することでマウンティングの快感を覚えてしまった先生だったが、Kとお嬢さんが仲良くなっているのを見ていたら鬱屈したコンプレックスが爆発して、自分の尊厳を取り戻すために大して好きでもないお嬢さんと婚約したらKが自殺してしまった」というのが本質的なところじゃないのだろうかと思うわけです。

これならお嬢さんが大して可愛く描写されていなくて、Kに対する気持ちばかり描いてある理由が説明つくと思うのですが。

もしかして考えすぎ?w

こころ

こころ

  • 作者:夏目 漱石
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
 

 

プロフィール

読書好きのゲーマー。
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